沿線おでかけ情報
|特集|2023/08/01
鵺(ぬえ)や土蜘蛛(つちぐも)など、不思議な妖怪の伝説が伝わるスポットが京阪沿線には数多く残ります。恐ろしいけど何だか気になる…そんな妖怪の世界を親子で覗いてみませんか?夏休みの自由研究のテーマとしてもぴったり!
この人に聞きました
應矢康紀(おおや やすのり)さん
京都国際マンガミュージアム学芸室員。子供の頃読んだ妖怪図鑑や、父親から聞いた妖怪の話がきっかけで大の妖怪好きに。京都新聞ジュニアタイムズ『マンガ 京・妖怪絵巻』を監修。
妖怪って魅力いっぱい!
「もし妖怪に会ったらどうしよう!?」と想像して怖くなったり、ワクワクしたりできるのが妖怪の楽しさです。また、伝説にゆかりのある場所を自分の足で巡ると「ここに妖怪がいたんだなぁ」と、より一層感動しますね。妖怪の中には人を食べてしまう土蜘蛛のように悪さをするものだけでなく、宗旦狐のように人間のために良いことをするものもいます。いつかそんな妖怪たちと友達になれるかも知れませんよ。
※妖怪の伝説には諸説あります
恐ろしい疫病の化身
虎狼狸(ころうり)
江戸時代に大流行した恐ろしい病・コレラを引き起こすと考えられた妖怪。コレラはコロリとも呼ばれ、当て字から虎・狼・狸の3つの動物が合体したような姿だと考えられました。
薬とお守りで虎狼狸を退散
少彦名神社(すくなひこなじんじゃ)
北浜
医薬の神をまつる神社。江戸時代にコレラが大坂で流行し、妖怪・虎狼狸の仕業と恐れられました。その時、薬問屋が配った虎(とら)の頭の骨と漢方薬を合わせた薬と、お守りの張子の虎がコレラに効いたと伝わります。例年11月に行われる神農祭では、五葉笹にお札と、虎の張子を付けた家内安全・無病息災のお守りが渡されます。
少彦名神社
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美女の姿になった水の神
龍女(りゅうじょ)
龍が人間の女になって現れた姿。海や湖、竜宮などに住み、水の神とも考えられています。長い間雨が降らないので農作物が育たず困っていた人々の願いを聞き入れて雨を降らせるなど、龍女の伝説は日本各地に残っています。
龍女伝説が残る蓮如上人ゆかりの寺
光善寺(こうぜんじ)
光善寺
浄土真宗を広めた蓮如上人が1475(文明7)年に開いた寺。説法を熱心に聞いていた美女が上人に対し、実は自分は大蛇だが、説法のおかげで今までの悪事を反省したと話します。大蛇は「お礼に池をあげるので、埋めて御堂を建ててください」と言い残して、龍の姿になり池のそばのサイカチの木から天に昇ったという伝説が残ります。
光善寺
奇妙な声で鳴く不吉な怪獣
鵺(ぬえ)
頭が猿で手足が虎、体は狸で尻尾が蛇のような姿だったと言われる怪獣。不気味な声で鳴き、その恐ろしさで近衛天皇が病に伏せたほど。武将・源頼政と家来が退治に繰り出しました。
鵺を退治した2本のやじりが社宝
神明神社(しんめいじんじゃ)
祇園四条
平安時代の貴族・藤原忠通の屋敷跡にたたずむ小さな神社。天皇に鵺退治を命じられた弓の達人・源頼政がこの神社に成功の願いをかけ、その後見事に鵺を退治しました。鵺に命中した矢のやじり2本が宝物として伝わり、本殿ではやじりの写真や頼政の鵺退治をイメージした絵馬を見ることができます。
神明神社
平安京をおびやかす人喰い蜘蛛
土蜘蛛(つちぐも)
巨大な蜘蛛の姿をした妖怪。たくさんの蜘蛛の妖怪を従えて穴の中に住んでいましたが、武将・源頼光に退治されてしまいました。その時、腹の中からは無数の人の骨が出てきたそうです。
灯篭の火袋を奉納し土蜘蛛のたたりを鎮める
東向観音寺(ひがしむきかんのんじ)
嵐電(京福)北野白梅町/出町柳からバス
菅原道真作の十一面観音菩薩をまつる寺院。近くには、源頼光に退治された土蜘蛛を埋めたと言われる塚があり、そこを明治時代になって発掘したところ、灯籠が出土。その灯籠の火袋をもらった人に突然不幸が訪れたため「土蜘蛛のたたりに違いない」と恐れられ、火袋を奉納したほこらが寺に残ります。
東向観音寺
茶人に化けた“愛され妖怪”
宗旦狐(そうたんぎつね)
茶人・千宗旦に憧れ、化けてなりすました白狐。しかし正体がバレた後もその茶道の腕前が見事だったことから、人々から慕われていました。碁を打つのも大好きな、京の風流狐の一匹です。
人々に愛された宗旦狐をまつる社
相国寺 宗旦稲荷社
(しょうこくじ そうたんいなりしゃ)
出町柳
臨済宗相国寺派の大本山・相国寺境内にある小さな社。茶人・千宗旦の姿に化けて人々のために尽くした宗旦狐が、近所の豆腐店から与えられた「ねずみの天ぷら」を食べたことをきっかけに亡くなってしまい、哀れんだ寺の僧たちによって建てられました。祭事の時には近くの豆腐店の油揚げが供えられるそう。
相国寺 宗旦稲荷社
全長数10kmの巨大モンスター
大ムカデ
びわ湖の龍神一族を困らせるムカデの化け物。体長数10kmを超え、近江富士と呼ばれる三上山を七巻き半していたとか。藤原秀郷が退治し、そのお礼に龍神からもらったと言われる釣鐘が三井寺に残ります。
龍神に依頼され大ムカデを撃破
瀬田唐橋(せたからはし)
唐橋前
近江八景「瀬田の夕照」で有名な橋。橋の上に横たわる大蛇を恐れず踏んで渡った平安時代の武将・藤原秀郷に、大蛇は自分が龍神であることを明かします。そして夜な夜なびわ湖の魚を食べ尽くす三上山の大ムカデ退治を秀郷に頼みました。見事大ムカデを退治した秀郷は、龍神から橋の下にある竜宮に招待され褒美をもらったと言われます。
瀬田唐橋
妖怪イベント瓦版
三井寺妖怪ナイト2023
8/3(木)~6(日)
悲鳴と笑い声が夜の境内に響き渡る、三井寺の夏の風物詩「三井寺妖怪ナイト」が今年も開催。見た目は怖いけれど、どこか憎めない妖怪たちが夜の境内に出没します。妖怪の謎解きや怪談、妖怪フードブースなど、夜の三井寺を満喫しよう!
京都国際マンガミュージアム
荒俣宏館長の「こども妖怪教室」
8/20(日)
鬼や天狗、ろくろ首など、不思議な姿の妖怪たちの「イロとカタチ」についての疑問に荒俣宏館長が答えます。後半は解説の内容を参考にして工作も。そしてなんと、妖怪たちもやって来ます!
比叡山摩訶不思議伝説ウォーク スタンプラリー2023
前期:8/31(木)まで
後期:9/1(金)~12/3(日)
比叡山と山麓の坂本に残る伝説・逸話をモチーフにしたスタンプラリーが開催中です。比叡山の長い歴史の中で、僧侶から僧侶へと語り継がれてきた摩訶不思議な伝説が残るスポットを家族で巡ってみませんか。
嵐電妖怪電車
8/11(金・祝)~15(火)
嵐電(京福電車)の四条大宮駅~嵐山駅間を、不気味な装飾が施され、妖怪が出没する電車が走ります。乗客も妖怪に扮装して乗り込み、一緒に楽しむ参加型のイベントです。ドキドキの体験で、涼を感じてみませんか。
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